2021年のノーベル経済学賞は、AngristとImbensという計量経済学者に授与されました。受賞理由は、「因果関係の分析に対する方法論的な貢献に対して」でした。このように、統計的因果推論は、近年、世界的にさまざまな分野で注目されています。本コースでは、統計的因果推論の基礎的な考え方と応用的な技術について学びます。
初日の講義は、主に、統計的因果推論の考え方に焦点を当てています。ここで、潜在的結果変数の枠組みによる因果推論の習慣を身に付けます。
2日目の講義では、主に、統計的因果推論の技術に焦点を当てています。重回帰分析で交絡因子を統制することの具体的な意味を理解した上で、その限界について認識するところから始めます。その後、傾向スコアマッチング、操作変数法、回帰不連続デザインといった統計的因果推論でよく用いられる技術について、具体的に学びます。また、実際に統計環境Rで実行する方法についても学びます。
本コースでは、微分積分や線形代数を使わずに、数値計算とグラフによって解説をしますので、数学の難易度は比較的に低めに設定しています。講義内容は、『統計的因果推論の理論と実装』(共立出版, 2022)に準拠しています。
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